MORIE
MORIE
伊豆稲取の自然と共に過ごす山の家。観光客、学生、そして地域の住民が集う、新たな拠点作り。
担当
稲取設計室
稲取に新たな拠点を
稲取には、山崩れ等を防ぎ自然の中で安らげるように造成・整備された「稲取ふれあいの森」と呼ばれる森林が存在する。それらを管理するため使われていた建物が「旧稲取ふれあいの森管理棟」であり、現在のMORIEである。地元の方々との話し合いの末、管理棟を宿泊施設へと改修し、稲取に新たな拠点を設ける「山の家プロジェクト」が始動した。
旧ふれあいの森管理棟
コロナ禍を経て
2019年末より流行した新型コロナウイルス感染症の影響により、私たちの活動の幅は大きく制限された。現地への訪問はおろか、学校への登校すらできない日々が続いた。活動はオンラインでのミーティングが中心となり、メンバー内にはもどかしさと焦燥感が募った。
長い下積み期間を経て、稲取への再訪が実現し、MORIEは2021年春に着工した。地元の大工さんの協力の下、外壁に開口部を設け眺望を確保することや、床下へ潜って行う補強作業など、大規模な改修でありながら施工は順調に進んだ。秋には、静岡大学の主催するキンメナーレへ参加し、ワークショップのイベント会場としてMORIEを利用するなどした。約一年間の施工を終え、MORIEは同年度に待望の竣工を迎えた。
MORIEで過ごす
大屋根に包まれた屋内空間は、リビングルーム、ダイニングルーム、水回りスペースから構成されている。リビングルームには可動式の家具を設け、用途により空間を調節することができる。また、天井の張り替えと壁の塗装により、明るくやわらかな印象を与える。ダイニングルームにはパレットを再利用したテーブルを作成し、利用者のだんらんの場とした。既存の縁側は延長し、靴箱としての機能を付随させた。水回りスペースは押し入れ部分を解体し、シャワールームを新設した。現在は湊庵へ運営を委託し、宿泊施設として誰もが利用可能である。