建築学生による地域活性化団体

空き家改修プロジェクト

学生による地域活性化団体
空き家改修プロジェクト

MIZUSHITACHA-AN PROJECT

水下茶庵プロジェクト

空き家改修プロジェクトはじまりの物件のRe:リノベーション。子供も大人も気軽に立ち寄れるクロモジ茶工房を目指して。

東伊豆との出会いとはじまりの物件

東伊豆とのつながりはAKP初代代表が2011年地域づくりインターンの会で派遣されたことがはじまり。
インターン活動後も関わりを継続し、2014年に町役場に空き家改修の話を持ち掛けた。まちから学生が自由に施工させてもらえる場所として、最終的に行き着いたのが「水下庵」であり、まちの公民館の付随施設として改修を行った。

AKPの在り方を見つめ直す

「改修した物件が、人に、地域に活用されなければ改修した意味がない」

水下庵は改修をしたが、活用されない。このもどかしさや寂しい思いを胸に活動を見つめ直すきっかけとなる。

2年目以降、「改修が目的」ではなく、地域の人と共に話し合い、その地で活用され、新たな人の流れを作るべく「目的のための改修」の活動へとつながっていく。

水下庵活用の転機

2014年の竣工以降、利用者が見つからず倉庫となっていた水下庵。

そうした建物の活用に手を挙げたのは、東伊豆町の地域おこし協力隊として稲取細野高原の利活用を担当する熊谷宏之さん。
クロモジ茶の製造にも取り組む熊谷さんだが、現在の工房として利用している建物でまもなく改修工事が始まるのに先立ち、同物件を新たな作業場所とすることを決めた。

期待と不安の入り交じるプロジェクトのはじまり

プロジェクト開始当初、活用されないまま10年の期間放置された水下庵には雨漏りや躯体の腐食が散見され、改修に伴ってほぼ全箇所の修繕が予想された。2024年夏、既存内装の解体に取り掛かると、それまで仕上げ材で隠れていた内壁や天井が露わになり、全貌が目の当たりとなる。
改修計画に期待を膨らませる傍ら、過去に手掛けたどの物件よりも酷い状態に対して、限られた予算の中での修繕や修繕方法に不安が残る状況でのプロジェクト開始となった。

腐食して穴の開いたトタン外壁の張替えや、ボロボロになった内壁材の交換など修繕の内容は多岐に渡り、地元大工指導のもと作業を進めた。雨漏りのする屋根と天井についても地元大工とともに補修を行い、一時的に雨漏りが治まったものの状態は悪く、恒久的課題解決のために、屋根から落ちてきた雨水を受け止め、建物外へ排出する天井を考案した。
屋内に雨樋を設えるというなかなか事例の見つからない珍しい工法のため、学生で試行錯誤しながらすすめ、最後は学生全員参加で設置を行った。

限られた予算を用いて内装デザインを行ったうちの一例として、店舗什器はすべて東伊豆町北川地区で鹿島踊りの舞台として利用されていた大型パレットを利用している。長い間使われず倉庫に眠っていたパレットの存在を推進協議会に所属する方から教えてもらい、1820*1820の寸法を水下茶庵のスケールに合わせて什器設計を行った。
結果として、必要什器にかかる材料費を最小限に抑え、パレットを用いたデザインは内装に統一感を持たせることとなった。また、稲取地区から東伊豆町全体に活動範囲を広げたことで、東伊豆全体にコネクションができ、地域をまたいでの部材の提供という稲取設計室以前ではなかった地域連携がみられた。

気軽に立ち寄れるお茶工房を目指して

水下茶庵の計画で一番大きな操作は入口の変更である。

初期の計画の際、水下庵が何故地域住民に利用されなかったのか、そして地域に開いた工房にするにはどうすればよいのか議論を重ねた。そこで大きく論点となったのが、水下庵への出入り口が民家へ続く私道に面した一つしかったことと、前面道路に面した窓がすりガラスで建物内部の様子が全く分からなかったということであった。
この問題に対して、まず、前面道路に面する壁を一部解体し店舗用サッシを取り付け、さらに既存のすりガラスをクリアガラスに変更することによって建物へのアクセス向上と、建物内外の関係が生まれることを図った。

模型での検討

この操作によって建物内部で何をしているのかが一目でわかり、なおかつ通りすがりの地域住民と利用者とのコミュニケーションの発生を狙いとしている。

2025年2月、施工をする傍ら廃園となった幼稚園を利用して、クロモジを使った草木染ワークショップを開催した。水下茶庵ではクロモジ茶の製造を行うため、クロモジを用いたワークショップによってクロモジ茶を知ってもらうことはもちろん、学生の活動を知ってもらうことも目的である。
WS当日は地域住民や観光客など30人を超える参加があり、クロモジ茶の作り方講座や草木染をしてクロモジと当団体への理解を深めた。WSでは店頭に掛ける暖簾を草木染によって参加者とともに制作し、水下茶庵営業時には店頭に掛けられる予定だ。

2025年3月16日。水下茶庵の竣工を迎える。
2024年8月にそれまで計画していた物件を失い、それから半年ばかりの期間で取り組んだプロジェクトであったが、町の方々の多くの支援と応援によって「水下茶庵」として無事竣工を迎えることができた。
水下茶庵がこれから、子供から大人まで気兼ねなく立ち寄れる拠り所として機能することを期待する。

おもひで

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