建築学生による地域活性化団体

空き家改修プロジェクト

学生による地域活性化団体
空き家改修プロジェクト

KUNCHAN NO DAGASHIYA

くんちゃんの駄菓子屋

稲取から東伊豆町全域に活動範囲を広げる第一歩。地元の子供達のサードプレイスとなる駄菓子屋を目指しました。

町役場との新たな挑戦「物件公募」

稲取設計室の記念すべき10年目の代が始まった。しかしそんな我々が直面したのは「改修をする物件がない」という問題であった。

10期の目標として掲げた「東伊豆町全域への活動地域の拡大」に向けて熱川地区でのフィールドワークを行ったものの、改修可能な物件は見つからなかった。

困っている状況を、2月に行われた『東伊豆町空き家等利活用推進協議会』の会議で打ち明けたところ、「町民個人が所有する空き家物件を、町の補助のもと学生が改修する」という新しい制度を作り、公募で物件を探すのが良いのではないかという意見が得られた。こうして改修物件を探す公募を行うことが急遽決定した。

10年目にして行われた新たな挑戦であった。

3か月ほど役場とのやりとりを繰り返し、5月に公募の受付が始まった。1か月の期間で2件の応募をいただき、熱川地区にある加藤國光さんの物件で改修を行うことが決定した。

加藤さんは「コロナ禍で居場所がなくなってしまった地元の子どもたちのために遊べる場所を作りたい!」という強い思いから、熱川地区にて『ほし★そらシネマIZU』というサマーフェスを主催している。同じ思いのもと、町に子どもたちの集まる駄菓子屋を作りたいと考えていたという。会社の事務所、ゲーム機の保管場所として使用していた倉庫を改修する計画をしていた國光さんは、学生の新しいアイデアを求め応募してくださった。

我々は7月に行われたサマーフェスの会場設営・運営にもボランティアとして参加させていただいた。多くの町民とともに作り上げたこのイベントでは、熱川地区における最初の活動として今後の活動にもつながる、地元の方との関係を深めることができた。

町に愛されるレトロな駄菓子屋を目指して

加藤さんから提示された物件改修の条件は「1.子どもたちの居場所となる駄菓子屋」「2.レトロな雰囲気」「3.既存のゲーム機の活用」の3点であった。倉庫という条件や求められる規模感、限られる施行日数などから、商品棚のデザインと雰囲気づくりの2段階に分けて設計していくことが決定した。

地元の子どもたちが集う駄菓子屋にするために、我々はどのように施工していけばよいだろうか。「自分たちの居心地のいい場づくり」をテーマとして、子どもたちの自由な発想とともに作り上げたいと考えた。「一緒に考え、作り、使う」をコンセプトに行った2回のワークショップでは、地元の子供達とともに什器の組み立てや色塗りを行いどちらも成功に終わった。

新規作成した棚や既存のゲームに組み合わせるように作成した、軒を連想させるような屋根の連なりに加え、駄菓子屋全体に張り巡らされた提灯によって昭和レトロを感じられる内装は子供達はもちろんのこと、その付き添いで訪れた保護者の方々も楽しんでほしいという施主の思いが反映されている。店舗の一角にはテーブルとベンチを設置し、子供達がくつろいだり宿題をしたり出来るような工夫を施した。さらに、通路を挟んでお菓子の棚の両側にはゲーム機が置かれ、子供達はゲームも楽しむことが可能だ。

ついに迎える竣工。ワークショップの後押しもあり、今か今かとオープンを待ちわびる多くの子供達の姿が見られた。開店と同時に店内は子供で溢れ、真新しい駄菓子屋に目を輝かせながら買い物やゲームを楽しむ。子供達のための勉強スペースではベンチに座り話を楽しむ子供達の姿もあり、子供達のサードプレイスとしての利用を期待している。

おもひで

トップへ戻る