ICHIJYOUSAKABA
一畳酒場
縁側のように庭の景色を楽しむ場所。一畳酒場は開成町の新たな居場所となる。
担当
開成設計室
新たな居場所へ
瀬戸酒造の新たな居場所として母屋を活用する。庭に面する緑側は引き戸の関係上、数人しか腰をかけられない。内部で雨をしのぐことができ、かつ縁側と同じような庭の景色を楽しむ場所は作れないか。
そこで、まだ使用されていない和室の畳一畳を掘りごたつのように改築し、日本酒を味わう角打ちとしてつくり変える。
また、退けておいた畳一畳を蓋をするように元に戻せば一畳収納へと用途変更し、酒場へ出迎える際の、入り口にある旗や宣伝のチラシなどを収納しておくことができる。一畳酒場はこのような+αの機能を持ち合わせている。
瀬戸屋敷に訪れた人や、お酒を求めて蔵元まで足を運ぶ人たち。お酒をただ買うだけでなく、酒造の雰囲気やお酒を五感を用いて感じてもらう。
一畳酒場へのアプローチ
既存の空間を用途や機能ごとに分け、配置し、人々の動線を考えた。
庭から和室にアクセスするデメリットとして、「庭への視線の妨げ」、「アプローチの時点で庭を体験するため、和室からの眺めのインパクトがなくなる」、「飛び石のような玄関へのアプローチを無視してしまう」、「お客様が脱いだ靴を外に置いておくことになるため、雨の日や風の強い日は不都合である」等があげられた。
以上の内容を踏まえると、庭を横断するのではなく、母屋既存の玄関からのアプローチの方が自然である。
お客様の行動の流れは以下のようになる。
1.奥に庭が見えている。和室で試飲ができるらしい。右手の入口へ向かう。
2.入り口には一畳酒場の紹介、試飲用のお酒と日本酒の紹介チラシを受け取る。
3.一畳酒場に向かい、縁側に座るような感覚で庭を眺めながら日本酒を口にする。
4.お酒が気に入れば酒造店に足を運んでいただき、買っていただく。
和室での豊かな体験は、お客様の購買意欲を高めると同時に瀬戸酒造の魅力を伝える。